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のんき妻と頑固夫の介護生活


by kouchanyoko

手紙〜親愛なる子供たちへを聴いて。

親が老いた自分に対して子供たちに
”こういう風に接して欲しい”という内容を
樋口了一さんという方が優しい声で歌っています。

ふっと母を思い出しました。

母はとても静かで思いやりと愛情の深い我慢強い人でした。

どなたもそうなのでしょうが、その時には何気なく
聞き流していた事が、何年何十年も過ぎてから
ふっと浮かんでくる言葉がありますね。

『動物の中で、親の面倒を見るという考えは人間だけ。
 
 それが当たり前だ、良い事だとは自分は思わない。
 
 出来るだけ、子供の負担にはなりたくない。
 
 子供の世間体が悪いから、同居しているけど
 
 出来ることなら、老人ホームで暮らしたい』

と長男と同居している時にポツリと言ったことがある。

兄嫁とは決して不仲ではなく長兄も
『嫁の代わりはいるけど、親の代わりはいない』
等と言ってはばからないほど親孝行な兄であった。 

次兄もお嫁さんが気の毒な程の親孝行であった。

ああ〜〜〜それなのに、それなのに、
『私は幸せだ、兄も嫁も本当に良くしてくれる』といつも
そう言っていたのに、このときの母の言葉にそう言う思いを
させて、娘として申し訳ない気分になったものです。

それを聞いた時、私の中にはっきりした形ではないけれど
ある覚悟が生まれたのを覚えています。

周囲の方々や母自身も幸せな老後を送っていると言われたり、
思ってたりしても、年老いた親の気持ちとはこういうもの
なんだと、自分の老後と重ね合わせて考えさせられました.

長兄が不幸にも母より先に亡くなって、母は我が家で暮らすように
なりましたが、最後まで愚痴、泣き言は一言も言わず前向きで、
娘に何一つ手を煩わせる事無く、見事に生を終えました。

私にはまねの出来ない尊敬すべき女性であった。

『手紙〜親愛なるこどもたちへ』
私の母もこの歌のように素直に気持ちをさらけ出していたら
よかったのだろうか?

(母はこの歌が生まれるずっーと前に亡くなっていますが)

母はこの歌のような気持ちはきっと持っていなかったと思う。
『親が子供を育てるのは当たり前の事。そのことで子供に見返りの
 ようなものを求めるべきではない』とも言っていた。


こういう考えでいたからだろうか、子供に期待しない分、逆に
どんなささやかな事にでも喜びと感謝を素直に表す人であった。

優しい中に毅然とした自分を持った明治の女性であった。



沢山の方々がこの歌で癒された、考えさせられた、励まされたとの
感銘をうけていらっしゃるようですが・・・・・

        昔からのことわざで
   『子供叱るな来た道じゃ、年寄り嗤うな行く道じゃ』
    ってことを歌ってるんじゃないの?と思う私。


これじゃ”身も蓋もないないわ〜〜”ごめんね、樋口了一さん042.gif
by kouchanyoko | 2009-09-06 08:25